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視覚や聴覚を使って想像力を働かせるのは実に巧妙な技術であると、いま読んでいる本(ダニエル・ギルバート『明日の幸せを科学する』ハヤカワ文庫NF)にある。私たちがペンギンの姿を想像するときは、心の眼で心のイメージを見ており、実際のペンギンを見ている場合と同じように脳の視覚野が活発化するらしい。音の場合も、音楽の最後のパートのところを思い出すといった時に、心の耳で音を聞いており、実際の音を聞くときと同様、聴覚野が活発化するらしい。感情も同様で、現実の出来事に感情反応する脳の領域と想像の出来事に感情反応する脳の領域は同じらしい。
以上のように、現実でも想像でも、脳の同じ場所が働くわけだけど、想像しているペンギンと実際に見ているダチョウがごっちゃになるひとはいない。ただし、感情だけは例外で、そこのところの峻別が難しいらしい。現在の出来事に対する感情が想像の出来事に対する感情に影響を与えてごっちゃになってしまうらしい。
実験では、生活に対する満足度を聞いたところ、その日たまたま天気がよかった地域のひとは、満足している割合が高く、天気が悪かった地域のひとは、満足している割合が低かったという結果が出ている。天気で感情に影響が出るかどうかはともかくとして、現実に悲観的になっている時は想像に対しても悲観的なバイアスが、楽観的になっている時は楽観的なバイアスが生じるらしい。
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そりゃあそうだよね。この感情は、現実に起こっていることに対する感情で、こちらは想像に対する感情でなんて識別できないし、識別しようと思わないよね。ただ、いま悲観的な気持ちだから、この先の楽しそうな話を聞いても気が乗らないってことはあるし、後で、後悔することもあるかもね。これは実害がありそうだけど。。。
一時の感情に左右されることを軽減するため、少し、自分を傍観することも必要なのかもしれないね。でも、感情は自分から生まれるものだから、いいのも悪いのもひっくるめて自分できちんと受け止めないといけないかな。