見えない思い。

いまの会社に入って直ぐ、広報誌の立ち上げに携わった。と言っても、担当は私ひとり。トップの指示のもと、手足となって西へ東へ。。。京都にある大学のS先生のとこに原稿依頼に訪れたのも確か年末だったと思う。。
初めてお会いするS先生は、とても落ち着いて、穏やかな方であった。時間の流れ方がとても優雅な感じで、研究者として暮らすのは俗世と離れ、ストレスなどもないのだろうなあ。。。などと、研究者として生活していくことを断念したばかりのわたしは、羨ましいような寂しいような感覚を覚えた。。
その後も何度かやりとりをさせていただいたが、連載が終了してからはお会いすることもなかった。
それから数年後、S先生がお亡くなりになったと聞いた。しかも、自殺という形で自ら死を選ばれたという。。
顔見知りと言っていいほどの関係性ではあったけれど、何故かとてもショックを受けた。
京都でお会いしたときの非常に穏やかな感じと自殺で亡くなったということが全く相容れなかった。
そんな事態になるには相当な理由があるのだろうけれど、そんな理由なんて、あの落ち着いた感じのどこに隠されていたのだろう…と全く腑に落ちなかった。。
ある日、結んでた結び目が自然と解ける感じで亡くなられたんだろうか。。。
なにも知らないのにこんなことを語る立場ではないのだけれど、、、
知り合い程度には決して見えないところで、死を選ぶほどの深い思いを抱いていて、かつ非常に穏やかさを保っているという矛盾するような状況がひとりの人間の中に収まっている。。。
とても印象深い記憶となっている…。

f:id:waxing-and-waning_moon:20151214225530j:image