「とら子」さんの「約束」

父方の祖母は、幼いときに母を亡くした。自分自身も小さいときは身体が弱く、強くなるように、「まりこ」だったと思うけれど、そんな女の子らしい名前から、なんと「とら子」という名前に改名した…。全国の「とら子」さんには申し訳ないけれど、女の子だし、、、ちょっと強すぎるでしょ。。。

その「とら子」さんの父親は後妻さんをもらって、祖母には母親違いの弟や妹が3人いた。それでも、跡継ぎ娘の「とら子」さんは、お見合いをして、自分と同じ学校の先生をしていたお婿さんをもらって家を継ぐことになった。

「とら子」さんとお婿さんの「正」さんには、「崇」さんという子供が生まれたけれど、幼いときに亡くなった。神社である父の実家には、敷地内にお墓があるけれど、「崇」さんの小さな小さなお墓もちゃんとある。父が生まれたのはその次。父は、昔は山ザルだったといっているので、元気なこどもだったんだね。

そんな元気な子供にも恵まれたけれど、程なくして、日本は戦争に。「正」さんも戦地に赴いた。その当時の状況はよく分からないけれど、一旦、自宅に戻った際に、「とら子」さんは父の妹を身籠ることに。そして、再び、戦地に戻って行った「正」さん、ビルマに行って、戻ってこなかった。

その後の「とら子」さんは、大変だった。神社の土地が没収され、かつ神主の収入だけで暮らしていくのが大変な父親家族を含めた一家の大黒柱に、一気になった。いきなりの状況に、考えてる暇なんてなかったのだろうなあと思う。その当時の女学校のお給料がどの程度かは分からないけれど。。。助け合える部分もあっただろうし、大家族でよかったのか悪かったのかどっちか分からないけれど、幼い子供やその他家族を抱えて、いろんな面で、そりゃあ大変だっただろうなあ。

でも、祖母はなあ〜んにも言わなかった。苦労話とか、聞いた記憶がない。。。

押し潰されそうになることはなかったのかな?大変な状況になるかもしれないと思って、不安になると押し潰されそうになるんであって、不安を感じる間もなく、実際に大変な状況になると、人間というのは案外強いもんなんだろうか?それとも祖母が「とら子」だから?姓名判断はあたるの…?

「とら子」さんは、「正」さんと子供を東京の学校に行かせるって約束をしてたらしい。。。生活だけでも大変なのではと思われるけど…。それでも、父は東京の大学に行き、無事、約束は果たされることになった。

「約束」、大事なひととの約束、親きょうだい、友達との「約束」、自分との「約束」、、、難易度が高くて果たされないことがあるかもしれないし、縛られてしまうなら自由になってもいいと思うけど、、、それがあることで支えになるってこともあるのかもね。。。

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